敦煌二日目

満月は昨日だったのかな。 よく知らないけど今日も限りなく丸いはず。私は月の砂漠が見たかったのだ。だからまた 120元支払ってやってきた。ラクダの群が どばっといた。 200頭できかんな。 ラクダの群の中でラクダを描いた。 ラクダって すごくあごを動かして顔をゆがますし 間抜け面に見えるよなあ。でも目はすごく優しそうだよなあ。牛とか馬もだけど ラクダはとりわけまつげが 長いし 憂いを感じる。 体に焼き印をいれられ 鼻のあたりに穴を貫通させられ 鞍をつけられ 6頭ずつ 連結され 一日ずっと 砂の上を 人を乗せて往復しているんだな。 かわいそうになってきて より いっそうラクダの遠くを見る目に憂いを感じた。けどラクダは そんなこと 感じてはないのかな。

ラクダを描いてるうちに日が暮れた。すなわち 8時ごろになった。左の空の下には オレンジ色した甘ったるそうなまあるい月が 浮かんでいる! やった。私は 目の前に広がる砂の山に歩きだした。 20人くらいの人たちが 私の行く道の前方を歩いている。たくさんの足跡が 尾根づたいに てっぺんに向かっている。 みんなほぼ同じところを歩くため 足跡で作られた道になっている。砂はほんとにさらさらで 足がめりこみ 進まない。前方にいた人たちは 次々下山してしまって ついには 私一人になった。 一人だけで てっぺんに向かった。尾根の左側は月の光でほんのり黄色く 右側は影なので ダークグレー 山の向こうは未だ太陽の名残で明るい群青色だ。 3色がなめらかな曲線で分けられている。 それにしても なかなかてっぺんに 到着しないし少し心細かった。 月はだんだん上に向かい明るい黄色になってきた。真正面には とても明るい星が一つ輝いていた。 これが見たかったんや~
感動の眺めだな。それでも とにかくてっぺんには行きたかった。てっぺんにあがれば その向こうが何なのかわかる。 ついに てっぺんに来た! 靴はまるで砂袋みたいに砂まみれだ。 その向こうにあったものは!やはり 同じような山が続いているだけだった。もし 助けを求めている人なら 絶望するに違いない。私はただの旅行者だから 絶望どころか感動で こんな時にカメラがないなんてと 思ったけど どうせカメラでも きれいに撮れない。こういう時スケッチがいいんだよなと思ったが 手元が暗くて スケッチもできなかった。 しばらく堪能して 下山した。
ちなみ 今晩のごはんはロバ肉の面を食べた。